トピックス
便秘と大腸がん

−産業革命と腸の進化−  院長  徳永 信弘

大腸がんは増えている

大腸がんの増加傾向は続いており平成10年の日本のデータでは大腸がんによる死亡は男性のがんの11.1%となっています。これは肺がん(21.4%)、胃がん(19.1%)、肝がんについで第4位です。女性の大腸がんによる死亡は13.8%で胃がん(19.1%)についで第2位です。大腸がんで死亡する確率は人口動態統計によると90歳までに男性が6.5%、女性が4.5%となっています。大腸には結腸と直腸がありますが中でも結腸がんの増加が著しく食生活の欧米化との関連がいわれています。

産業革命と便

欧米では産業革命が始まってから100年後の1870年頃に小麦の製粉技術が向上して不純物の混ざらない精製された小麦粉が得られるようになりました。これにより食物繊維の摂取が大幅に減少しました。また同じ頃に冷蔵や製缶の技術が開発されて蛋白質の摂取量が増加しました。結果として穀物の摂取が減り食物繊維の摂取量はさらに減少しました。現在の私達の食物繊維の摂取量は1870年以前の人の約10分の1と言われています。アフリカのウガンダの農村部に住んでいる人は35時間で400gの排便があったのにイギリス海軍基地の軍人は5日間で100gの便しか出なかったというデータもあります。日本人の1日の排便量は100〜200gです。

食物繊維と発がん

食物繊維は発がん物質の濃度を希釈し糞便の通過時間を短くすることで発がん物質と大腸との接触時間を短縮して発がんを抑制すると言われています。ですから食物繊維、なかでも豆、芋などの穀物繊維を十分にとることが重要です。納豆1パック(50g)の食物繊維量は生野菜のレタス2/3個(500g)に匹敵します(食物繊維量として5g)。食物繊維の1日の摂取量の目標は約25gです。ハンバーガーなどは食物繊維が少ないというだけでなく大腸がんに関係すると考えられている動物性脂肪が高い(ハンバーガー2個を食べると成人に必要な1日の動物性脂肪摂取量になる。)という点でも大腸にとっては好ましい食事ではありません。食物繊維には血中のコレステロールを下げる働きや血糖の上昇を抑える働きもあります。

セカンドブレインとしての腸

ミミズやヒルなどはいわば「動く腸管」とも言うべきもので、これら腸管動物を出発点として食物を上手に取り込むための目、耳、鼻、中枢神経、筋肉を発達させて動物は進化してきました。腸は多くの神経細胞を有し、たとえば小腸は脊髄の神経細胞の数に匹敵する約1億個の神経細胞(アウエルバッハ神経叢やマイスナー神経叢)を持っています。腸神経系は腸の感覚受容器で集めたデータを自分で処理し、それらのデータに基づいて効果器を動かし自らをコントロールすることができます。もちろん脳から腸に向かう迷走神経などもありますが、腸は「自分勝手に機能することが可能な臓器」です。ですから長い時間トイレでいきんでもうまくいきません。快適な排便になるように腸に十分な食物繊維を与えて規則正しい生活を心がけ大腸がんを予防しましょう。



 
 
 
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